特別講演:2023年10月21日(土)13:30~16:30


テーマ   マンガをつくる、マンガをあそぶ

講師 石川雅之(漫画家)
指定討論者 岩宮恵子(島根大学)
司会 川部哲也(大阪公立大学)

 マンガは、子どもから大人まで、多くの人のこころを魅了する。漫画家という職業にあるひとは、マンガを描くにあたり、物語がどのように生まれてくるのだろうか。そして、魅力的なキャラクターはどのように形作られるのだろうか。おそらく、その生成プロセスには「ファンタジー」の力が大いに作用しているように思われる。遊戯療法において、子どもたちが様々なあそびを発明し、その世界をセラピストと共に生きるプロセスと、どこか重なりがあるのではないかと考えられる。この特別講演は、そのような問題意識をもって企画されたものである。


 特別講演は3部構成を予定している。第1部は、石川雅之氏と司会(川部)とで対話しながら、石川氏がこれまでに描いた物語、キャラクターについて紹介しつつ、その創作中に考えていたこと、感じたことについての語りを導く。第2部は、岩宮恵子先生(島根大学)による話題提供を行う。思春期の子どもたちが、マンガをどのように読んでいるのか、どのように楽しんでいるのかについて、臨床心理学的な観点から語っていただく。第3部は、石川氏と岩宮先生による対談を行う。第1部、第2部の内容を受けて、漫画家が「マンガをつくる」ということと、子どもたちが「マンガをあそぶ」ということとの間の接点について考察を深める。そこにファンタジーの世界を生きることの意味が浮き彫りになることが期待される。適宜、司会者も対話に加わり、実りある対談にしたい。

 

講師 /石川雅之(いしかわ・まさゆき)氏  
 大阪府堺市出身。1997年に『日本政府直轄機動戦隊コームインV』でデビュー、初連載。1999年、『神の棲む山』(『人斬り龍馬』所収)でちばてつや賞準入選受賞。「モーニング」連載の『週刊石川雅之』などを経て、2004年『もやしもん』を連載開始(2014年完結)。同作で第12回手塚治虫文化賞マンガ大賞、第32回講談社漫画賞受賞。2009年より『純潔のマリア』を連載開始(2015年完結)。2015年5月に『惑わない星』連載開始。

 

指定討論者 /岩宮恵子(いわみや・けいこ)氏
 島根大学人間科学部教授。専門は臨床心理学。現代に生きる人の問題を、この世とは異なった世界(異界)という視点と日常との関係から考え、特に思春期の心について研究を深めている。著書に『フツーの子の思春期―心理療法の現場から―』(岩波書店)、『好きなのにはワケがある―宮崎アニメと思春期のこころ』(ちくまプリマ―新書)、『増補 思春期をめぐる冒険―心理療法と村上春樹の世界―』(創元社)など多数。